2026.04.27
WEBからの「問い合わせ」に求められる顧客対応とは
目次
1. はじめに
お客さまがリフォームを検討するにあたって、ネットを通じた問い合わせ、見積依頼は一般化していると言ったら言い過ぎでしょうか?
私はリフォームではありませんが、「引っ越し」をする際に「引っ越し料金一括見積サイト」を使ったことがあります。匿名で、メールアドレスか電話番号だけで、だいたいどのくらいの費用になるかが、その日のうちに何社からも返信、電話がありました。でも、結局、その時は、一括見積サイトで紹介された会社には頼まない結果となりましたが・・・
リフォームでも、まずは、その会社の自社ホームページを見たり、ポータルサイトでの掲載情報を見たりしたうえで、まずは、簡単に、できれば匿名で問合せができるのであれば、ユーザーにとっては「敷居」が低く感じられます。
ポータルサイトや自社ホームページを経由した新規顧客との接点は確実に増えており、今後もその重要性は高まると考えられます。
一方で、WEB経由の問い合わせは対面や紹介とは性質が異なり、事業者側にとっては対応の難しさや課題も多く指摘されています。
一方で、WEB経由の問い合わせは対面や紹介とは性質が異なり、事業者側にとっては対応の難しさや課題も多く指摘されています。
2. リフォーム評価ナビ登録事業者アンケートの実施
今般、リフォーム評価ナビでは、ポータルサイトや、自社ホームページを通じて、新規のお客さまから「問い合わせフォーム」やメールで問合せや見積依頼を受ける際に、そのお客さまにぜひお願いしたいことを把握すべく、2026年3月~4月にアンケート調査を実施しました。
アンケート結果からは、現場で感じられているリアルな声とともに、今後の改善に向けた重要な示唆が見えてきました。
本記事では、その集計結果をもとに、「お客様にお願いしたいこと」と「事業者側の対応の工夫」を整理し、WEB問い合わせ時代における実務のポイントを考えます。
※ 自由意見全文も含めた「アンケート結果完全版」は、リフォーム評価ナビ登録事業者の皆さんに限り「事業者管理サイト」において閲覧可能です。
3. WEB経由の問い合わせ、その実態は?
まず押さえておきたいのは、問い合わせ、見積依頼全体(対面、電話、知り合いの紹介、WEB経由等々)全体に占めるWEB経由( 「問い合わせフォーム」やメール等)の割合です。
アンケートによると、「1割未満」が約4割と最も多く、現時点では対面や紹介など従来チャネルが依然として主流であることが分かります。一方で、「5割以上」とする回答も一定数あり、企業によって依存度には大きな差があるのが実態です。
このことは、WEB問い合わせが「補助的な集客手段」にとどまるケースと、「主要な集客手段」となっているケースが混在していることを示しています。つまり、各社の戦略や規模、商圏によって位置づけが大きく異なる領域だといえるでしょう。
このことは、WEB問い合わせが「補助的な集客手段」にとどまるケースと、「主要な集客手段」となっているケースが混在していることを示しています。つまり、各社の戦略や規模、商圏によって位置づけが大きく異なる領域だといえるでしょう。
4. お客様にお願いしたいことの核心は「現地調査への理解」
アンケートで最も多く挙げられたのは、
● 「正確な見積りには現地調査が必要であることを理解してほしい」
という点でした(8割以上)。
リフォームは「現場ごとに条件が異なる個別サービス」であるため、標準化された価格を提示しにくいという点を、いかに初期段階でお客様にご理解いただけるかが重要です。
これはリフォーム・現地での工事というサービスの本質を考えれば当然のことですが、WEB問い合わせでは特に誤解が生じやすいポイントです。商品購入のように「価格だけ知りたい」という感覚で問い合わせる顧客も多く、事業者との認識のギャップが生まれやすくなっています。
実際、アンケートでの自由記載意見でも
● 「現地調査なしで詳細見積を求められる」
● 「価格だけ知りたい問い合わせが多い」
といった声が多く見られました。
リフォームは「現場ごとに条件が異なる個別サービス」であるため、標準化された価格を提示しにくいという点を、いかに初期段階でお客様にご理解いただけるかが重要です。
5. 「情報の不足」がミスマッチを生む
問い合わせ時に顧客から提供される情報の「質」についても、多くの事業者から改善を求める声がありました。 特に以下の項目については、いずれも半数以上の事業者が希望しています。
● リフォーム箇所・内容の具体的な記載
● 予算の目安の提示
● 希望時期の明確化
これらはいずれも、「初期情報の不足による非効率」が現場で起きていることを示しています。
情報が不足している場合、事業者側は追加確認に時間が取られ、対応コストが増加します。また、顧客側も的確な提案を受けられないため、結果的に双方にとって不利益となります。
特に「住所未記入で対応エリアか判断できない」「要望が曖昧で提案ができない」といった声も多く、顧客、事業者双方にとってストレスの一因になっていることが見受けられます。「問合せフォーム」の設計やヒアリング方法の見直し余地がないか、改めて確認してみることが必要かも知れません。
6. 「連絡がない問題」は現場の大きなストレス
また、事業者側の切実な声として目立ったのが、
● 「結果的に依頼しない場合でも連絡がほしい」
という要望です。(68.8%が回答)
見積作成や現地調査には時間とコストがかかるにもかかわらず、
● 「返答がない」
● 「その後の状況が分からない」
といったケースが一定数存在しています。
これはWEB問い合わせの「気軽さ」や「敷居の低さ」の裏返しとも言えますが、事業者にとっては大きな負担です。
この課題は、単に顧客のマナーの問題として片付けるのではなく、進捗確認の仕組みを整えることで改善できる可能性があります。
7. 相見積もりの増加とその影響
WEB問い合わせの特徴として、多くの事業者が挙げたのが「相見積もりの増加」です。
実際、「当て馬的に利用された」との課題が指摘されています。
相見積もりが、必要以上に過度になると、事業者側の負担増はもちろんですが、
● 事業者からの提案の質の低下
● 顧客自身も判断困難
といった指摘もありました。
8. 事業者側の工夫:鍵は「初期対応の質」
では、こうした課題に対して、事業者はどのような工夫をしているのでしょうか。
主な取り組みとしては、
● 迅速な返信(翌日まで)
● 現地調査の積極的な提案
● 写真・図面の事前取得
● 電話連絡への誘導
などが挙げられました。
特に注目すべきは、「まずは現地調査をお願いする」という意識の高さです。7割を超える事業者がこれを実践しており、WEB問い合わせ対応の基本となっているようです。
また、「丁寧に返信すれば本気の顧客は反応してくれる」という声もあり、初期対応の質が顧客の選別にも一役買っていることがわかります。
9. 今後のポイント:顧客教育と仕組みづくりの両立
今回のアンケートから見えてきた本質は、「認識のギャップ」です。
顧客は「気軽に問い合わせたい」と考える一方
事業者は「正確な情報と手順を踏んでほしい」と考えています。
このギャップを埋めるためには、以下の2点が重要です。
1.顧客への事前説明の強化 として
● 現地調査の必要性
● 見積作成のプロセス
● 顧客のニーズに応えるためには、多くの情報が必要
2.初期対応の質の向上 として
● スピード(迅速なレスポンス)
● 丁寧な対応
● 次のアクションの明確化
まずは、この2点に取り組みことが重要となるのではないでしょうか。
そして、もう一つ、大切なことは、“顧客ターゲット”と“強み”を明確に打ち出すことです。
3 自社の特徴・強みのアピール として
● 自社サイトやポータルサイトで得意分野を明確に打ち出す
● 実際の施工実績やお施主様の口コミを、写真付きでできるだけ多く紹介する
● 強みの打ち出し方を「どんな工事でもご相談ください」から「こういう工事が
得意です」へ切り替える
最も重要なのは、「どのようなお客様とつながりたいか」を明確にすることです。
まず、過去の施工実績を振り返り、自社ならではの強みを掘り起こしましょう。
「どんな工事が一番うまくいったか」「どんなお客様に喜んでいただけたか」「他社には真似できない強みは何か」――こうした問いを自らに投げかけ、強みを整理します。
そして、その強みを必要とするお客様を具体的にイメージし、一貫したメッセージとして自社ホームページやポータルサイトで発信していくことが大切です。
「どんな工事でもお任せください」ではなく、「こういう工事が得意です」と明確に打ち出すことが、求めるお客様との出会いにつながります。
“顧客ターゲット”と“強み”を明確に打ち出すことで、お客様との初期段階での認識のズレが減り、双方にとってスムーズで、ストレスの少ない関係づくりにつながるのではないでしょうか。
10. まとめ
Web問い合わせは、今後のリフォーム市場において欠かせない重要な接点です。
しかし、その特性上、従来の対面営業とは異なる課題も存在します。
本質は、対面営業もWeb対応も変わりません。“適切な努力”を十分に積み重ねることが成果につながるはずです。
リアルでもオンラインでも、何が“適切な努力”か?といえば、「どのようなお客様に選ばれたいか」というターゲットを明確にしたうえで、自社の「強み」をどう磨き、どう伝えるか? この一点に尽きます。
今回のアンケート結果からは、
● 現地調査の重要性の理解不足
● 情報不足による対応の非効率
● 相見積もりの増加
● 問い合わせ後の連絡不通
といった現状での課題が浮き彫りになりました。
一方で、初期対応の質を高めることで、Web問い合わせが有効な受注チャネルになり得ることも明らかです。
重要なのは、「お客様に事前に理解していただきたいこと」を明確にし、それを自然に伝えられる仕組みを整えることです。そして、WEB特有の特性を理解した上で、自社なりの対応スタイルを確立していくことが、今後の差別化につながるのではないでしょうか。
おわりに
本調査結果が、各事業者におけるWEB問い合わせ対応の見直しと、より良い顧客体験の実現に向けた一助となれば幸いです。
※ 自由意見全文も含めた「アンケート結果完全版」は、リフォーム評価ナビ登録事業者の皆さんに限り「事業者管理サイト」において閲覧可能です。
なお、リフォーム評価ナビでは、登録事業者の皆様にアンケートをお願いし、その集計結果を公開しています。多くのリフォーム事業者の皆さんの参考になれば幸いです。
<これまでの評価ナビ登録事業者アンケート結果>
2025年6月 改正基準法施行に伴う現場の状況はいかがですか?
2025年8月 現場における熱中症対策~どんな工夫をしていますか?
2025年12月 OB顧客に年賀状出します?
元 独立行政法人 住宅金融支援機構 部長
◆執筆者
一般財団法人住まいづくりナビセンター 専務理事
河田 崇
河田 崇
元 独立行政法人 住宅金融支援機構 部長
工務店向けの省エネ基準解説書や木造住宅工事仕様書の作成などに従事
マンション管理士 建築基準適合判定資格者 2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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