断熱・省エネ

更新日:2025年12月12日

家が寒い・結露がひどい・・・対策は?やるべき「断熱リフォーム」費用対効果 NEW

掲載日:2025年12月10日

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築20年の「家が寒い」は我慢してはいけない

「暖房をつけているのに足元が冷える」「毎朝、窓の結露拭きから1日が始まる」
築20年を超えた戸建てやマンションにお住まいの方にとって、冬の「家の寒さ」と「結露」は切実な悩みです。

実は、日本の住宅の断熱基準は年々厳しくなっており、20年以上前の住宅の多くは、現在の基準と比較すると「無断熱」に近い状態であることも少なくありません。
この寒さを「古いから仕方ない」と放置することは、単なる不快感だけでなく、ご家族の健康や資産価値にとって「見えないリスク」となります。

本記事では、「家 寒い 対策」「結露 対策」として最も検索されているリフォーム手法の中から、「断熱リフォーム」の優先順位と、断熱と合わせて必須な換気について解説します。
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1. なぜ対策が必要?寒さと結露が引き起こす「2つの危険」

断熱リフォームを検討する前に、今の家がどのような状態かチェックしてみましょう。
以下の項目に一つでも当てはまる場合、対策の緊急度は「高」です。

【危険度チェックリスト】
[  ] 冬場、リビングと廊下・脱衣所の温度差が10℃以上ある
[  ] 窓ガラスだけでなく、サッシや壁紙にも水滴がつく
[  ] 押し入れや家具の裏がカビ臭い
[  ] 暖房を切ると、1時間以内に部屋が寒くなる

1-1. 【健康リスク】ヒートショックとアレルギー

最も恐ろしいのは、急激な温度変化が心臓や血管に負担をかける「ヒートショック」です。特に断熱性の低い家では、入浴時の事故リスクが高まります。
また、結露によって発生するカビ・ダニは、喘息やアレルギー性皮膚炎の原因となります。断熱リフォームは、光熱費削減以上に「家族の命と健康を守るための投資」なのです。

▶こちらも合わせてCHECK!ヒートショックの対策など紹介されています。

1-2. 【建物リスク】結露が家の寿命を縮める

結露は目に見える窓だけでなく、壁の内部でも発生します。
壁の中が湿ると断熱材がカビで機能しなくなり、最悪の場合、柱や土台が腐食します。湿った木材はシロアリの大好物であり、耐震性を著しく低下させる原因にもなります。「たかが結露」と放置することが、家の寿命を縮めているのです。
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2.高費用対効果の「断熱リフォーム」優先順位

「断熱リフォーム」と言っても、家全体を一度に工事するのは費用もかかるし大変でしょう。
熱の流出量が多い場所からピンポイントで対策することで、費用を抑えつつ最大の効果を得られます。

2-1. 【優先度No.1】熱の50%が逃げる「窓断熱」

冬場、家の熱の約50%は「窓」から逃げていきます。つまり、窓を断熱することが、最もコスパの良い寒い家の対策です。
▼ 窓リフォーム手法の比較(費用対効果)
手法 工事内容 費用目安 断熱効果 結露抑制 特徴
内窓設置
(二重窓)
今ある窓の内側に
もう1つ窓をつける
【推奨】最もコスパが高い。防音効果もあり。
窓交換
(カバー工法)
古い枠の上に
新しい枠を被せる
内窓が開閉の手間で嫌な場合に最適。
ガラス交換 今の枠のまま
ガラスのみ交換
低〜中 枠(サッシ)の結露は防げないため注意。
まずは「内窓設置」の検討をおすすめします。工事は1窓あたりだいたい約1時間で完了し、住みながらのリフォームが可能です。

窓リフォームについて詳しくこちらで解説しています。

2-2. 【優先度No.2】足元の底冷えを防ぐ「床下断熱」

「スリッパなしでは歩けない」という場合、床下の断熱材が劣化している、あるいはそもそも断熱材が入っていない可能性があります。
床を剥がさずに床下に潜って施工する工法なら、生活への影響を最小限に抑えつつ、劇的に足元の冷えを改善できます。

2-3. 【全体改善】壁・天井の断熱リフォーム

より本格的に性能を上げたい場合は、壁や天井の断熱を行います。
内張り断熱: 部屋の内側から施工。コストは抑えられるが部屋が少し狭くなる。
外張り断熱: 外壁ごと包み込む。コストはかかるが、最高レベルの断熱性と建物の保護効果が得られる。外壁塗装の時期に合わせて検討するのが賢い方法です。

3. 断熱リフォームの落とし穴。「高気密」にするなら「換気」は絶対条件

断熱リフォームと換気、この2つは必ずセットで考えなければなりません。
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3-1. 換気方式の種類と「熱交換」の考え方

現在の建物では、窓を開けずに機械で強制的に空気を入れ替える「24時間換気システム」の設置が義務化されています。既存住宅をリフォームして気密性を高める場合も、適切な換気システムの導入が必須です。

換気方式には、給排気の方法によって「第一種換気」「第二種換気」「第三種換気」の3種類があり、リフォームで断熱性能を高めた住宅では、空調効率の観点から「第一種換気(熱交換型)」の採用例が多く見られます。

  第一種換気(熱交換型)とは:
給気と排気の両方を機械で行う方式です。排気時に、汚れた空気から「熱」だけを回収し、その熱を取り入れる新鮮な空気に移す仕組み(熱交換)を備えています。

  熱交換のメリット:
省エネ効果:換気による室温の変化を抑えられるため、「換気すると寒い/暑い」という断熱の弱点を克服でき、冷暖房のエネルギー消費を抑えられます。
快適性:冬場の冷気の侵入を抑えながら、湿気だけを確実に排出するため、結露対策としても役立ちます。

3-2. その暖房器具が結露の原因かも?

高気密・高断熱化した部屋では、石油ストーブや排気を室内に出すファンヒーターは原則使用NGです。
これらは燃焼時に大量の水蒸気と汚れた空気を放出するため、高気密な空間では酸欠や結露の主原因となります。 リフォーム後は、空気を汚さないエアコンや床暖房をメイン暖房にすることで、「結露知らずの快適な暮らし」が完成します。
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4. 断熱リフォームのコストシミュレーションとROI

断熱リフォームは「出費」ではなく、将来回収できる「投資」です。

光熱費削減による回収
窓や断熱材の性能を上げることで、年間の冷暖房費は数万円〜十数万円単位で削減可能です(住宅規模・地域による)。エネルギー価格が高騰する今、この差額は年々大きくなっています。

資産価値(リセールバリュー)の向上
断熱改修を行い「省エネ基準」を満たすことは、住宅の資産価値を高めます。将来的に家を売却・賃貸する際にも、断熱性能の有無が査定に影響する時代になっています。

まとめ:賢いリフォームで「暖かく健康な冬」を

築20年の今、断熱・結露対策リフォームを行うことは、ご家族の健康を守り、光熱費を下げ、家の寿命を延ばす「一石三鳥」の選択です。
まずは、自分の家が「どこから熱が逃げているのか」を知ることから始めませんか?

今の家の断熱性能を知りたい
内窓リフォームの具体的な見積もりが欲しい
補助金が使えるか確認したい
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◆記事監修
一般財団法人住まいづくりナビセンター 専務理事 
河田 崇

元 独立行政法人 住宅金融支援機構 部長
工務店向けの省エネ基準解説書や木造住宅工事仕様書の作成などに従事
マンション管理士 建築基準適合判定資格者 2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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